『入浴福祉新聞 第99号』(平成19(2007)年2月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
健康長寿と顕著な関連 食の世界は高齢者主導
コショウの香りを嗅ぐだけで、誤嚥の予防ができそう…。緑茶にはやはり長寿の効果がある…。
こんな研究結果が東北大学から相次いで発表されるなどで、〔食の世界〕は高齢者をターゲットとしたさまざまな試みが始まりそうだ。
歳をとると、食道と気管の分岐部分の機能が衰え、誤嚥しやすく、肺炎を起こしやすいことはよく知られている。コショウには嚥下反射を刺激する作用があり、香りを嗅ぐだけでも脳の指令が行き、嚥下運動の回数も増えるという。「高齢者は食事の時にコショウを!」とメーカーは忙しくなりそうだ。
また、緑茶を毎日飲む人は、脳卒中などの血管障害を起こしにくくなり、あまり飲まない人に比べて死亡率が低いという。緑茶に含まれるカテキンの健康効果は、かなり以前から指摘されてきたが、これでまた緑茶を愛飲する高齢者が増えること確実である。
認知症の予防には、魚介類と野菜を中心に多様な食品を摂取することがいい、との研究も厚生労働省研究班が最近発表している。
離島に住む高齢者95名を対象に、〔認知機能と食生活〕を追跡調査したところ、改善派は悪化派より魚介類を約1.7倍も多く食べていたという。緑黄色野菜も改善派の方が悪化派より1.25倍も多かったそうだ。
〔高齢者の健康と食生活の顕著な相関関係〕は、東京都老人総合研究所がかなり以前から指摘してきたのだが、最近は農林水産省もこうした点に着目。〔食料の消費市場は高齢者が主導権を握る〕との認識で、生産や流通も含めた施策立案のベースにしてゆく構えらしい。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。